2022/04/07
不動産相続の換価分割とは?換価分割に適したケースやメリット・デメリット②
【不動産相続の換価分割とは?メリットについて】
不動産相続の換価分割のメリットについて解説します。
●換価分割のメリット①公平に分けられる
相続した不動産を換価分割することで、複数の相続人で平等に資産を相続できるというメリットがあります。
他の分割方法と比較するとわかりやすいでしょう。
現物分割は、現状の不動産の形を変えず分けることです。
一見平等に感じますが、土地を厳密に同等の価値に分けることは難しいものです。
土地の形状や日当たりなど、条件を完全に同じにすることは不可能だからです。
代償分割に関しても、土地の値段は変化し続けるもので、他の相続人に支払う妥当な代償金額を設定することはトラブルの種になります。
不動産を取得する方にとっては、今後の固定資産税や維持費を加味したいでしょうし、逆の立場から見ると代償金が足りないと感じるかもしれません。
お互いが納得する分割協議の結果を出すには時間を要するでしょう。
その点において換価分割であれば、不動産を売却した現金から売却費用や税金を差し引き、残った現金を1円単位まで平等に分けることができます。
誰が見ても明確な分け方なので、相続人同士のトラブルが起こりにくいというメリットがあります。
●換価分割のメリット②納税資金が用意できる
建物をそのままの形で相続する場合、相続税として支払う現金を工面しなければなりません。
相続人には、基本的に、相続が開始してから10か月以内に現金一括で相続税を支払うことが義務づけられています。
換価分割であれば、現金が手元に入るので納税資金に充てられるメリットがあります。
●換価分割のメリット③節税になる場合がある
換価分割により大きな土地を共有して相続することにより、土地を分けて相続するより節税できるというメリットがあります。
現物分割の場合は評価単位が複雑になり、それぞれにかかる相続税を合算すると高額になる可能性があります。
また、被相続人が生前に不動産を売却して現金を相続するより、不動産を換価分割するほうが相続税を圧縮できるケースが多くあります。
なぜなら、不動産は現金より7〜8割ほどに相続税評価額が下がるからです。
くわえて換価分割は、所得税や住民税の節税にも繋がります。
これは、不動産を売却した際に発生する売却益に対してかかる税金が、複数人で売却すると1人で売却するより税率が低くなるという、相続税法における決まりが理由です。
また、空き家特例の控除金額が増える可能性もあります。
換価分割は節税対策になるので、相続した不動産を将来売却する可能性がありましたら、相続人同士でよく話し合い、換価分割について検討することをおすすめします。
●換価分割のメリット④不動産を管理しなくて良い
相続人の誰もが居住しない不動産であり、今後も活用する見込みがない不動産であれば、早期に手放すことで維持管理の負担から解放されます。
また、二次相続されることで相続人の関係性が複雑になることや、不動産の取り扱いに悩ませることを防げることもメリットです。
【不動産相続の換価分割とは?デメリットについて】
まとまった現金を得られることや節税対策のメリットがある反面、デメリットも存在します。
デメリットについても理解を深めて、最終的にどのように相続するか判断すると良いでしょう。
●換価分割のデメリット①不動産を売却して手放す
換価分割は不動産自体を売却して現金を得るので、被相続人の資産を手放さなくてはならないデメリットがあります。
人によっては、思い入れがあり名残惜しさを感じるかもしれません。
また、賃貸物件のように収益が発生する不動産である場合、今後得られると予測される収益に関しては諦めなくてはなりません。
大切な財産を売却する判断をしなくてはならない場合のデメリットを理解しておきましょう。
●換価分割のデメリット②所得税の負担が大きくなる可能性がある
換価分割は居住用不動産の売却ではないため、控除が適用されず譲渡取得税が高額になる可能性があります。
譲渡取得税とは、不動産を売却した際に得られる利益にかかる税金です。
換価分割は、不動産の購入から売却までの期間が長くなるケースが多く、地価や貨幣の価値変動の影響を強く受けるため、譲渡取得税がより高額になる場合があります。
不動産が地価上昇率の高いエリアにある場合は、売却希望価格から譲渡所得税額を事前に調べておくと安心です。
また、マイホームの3,000万円の控除の適用が受けられなくなる可能性があるので、空き家を相続した場合の特例など控除の対象となる制度をもれなく活用しましょう。
●換価分割のデメリット③相続税の負担が大きくなる可能性がある
換価分割は、小規模宅地の特例に適用しない可能性があり、相続税の負担が大きくなるケースがあります。
小規模宅地の特例を活用したい場合は、相続税の申告期限まで土地を所有し続けている必要があり、早い段階で換価分割する場合はこの特例は適用されません。
分割方法によっては最大限小規模宅地の特例を活用できることに対して、換価分割は効果が小さくなるというデメリットがあることを理解しておきましょう。
【まとめ】
不動産相続においては、税金の計算や特例が適用される条件が複雑なので、換価分割のメリットとデメリットをご理解していただき、ご自身のケースに適しているかご判断ください。
換価分割にすると現金を取得できるので、税金資金になることや、相続人同士で公平に分けられるメリットがあります。
ご自身のケースでは具体的にどのような効果を得られるか、相続人同士でも共有し調べてみることをおすすめします。